労働問題相談所

未払い残業代の申請方法や不当解雇など、労働問題の解決方法を解説しています。

【保存版】未払い残業代を自分で請求する全手順

      2016/10/18

残業代を請求する方法

残業代を請求したい!と思っていても、何からすれば良いのか、どのような証拠が有効になるのか、など分からないことが沢山あると思います。

しかし未払いの残業代を請求できる権利(いわゆる時効)は二年しかありません。
あなたが過去に働いた残業代は少しずつ目減りしている訳です。

今、あなたはこのような状況でサービス残業を強いられていませんか?

  • 業務時間内に終わらないボリュームの仕事がある
  • 定時にタイムカードを押してから残業している
  • 固定の残業代やみなし残業代しか払ってもらえない
  • 管理職や年俸制だから出ない
  • 仕方なく自分から休日出勤したので出勤になっていない
  • 深夜残業をしても給料が通常残業と変わらない
  • 職場の雰囲気から残業しても残業代を言い出せない

サービスなどする気はなくても「会社と争うのがイヤ」「どうしても言い出せない」「クビになるのが怖い」「出世に響く」などの理由で、残業をしてしまう例は少なくありません。
特に悪質なのが、雇用が不安定になることをちらつかせて、あくまでも自主的な残業を強制してくる場合です。

ですが、良く考えてみましょう。
残業代が未払いになる会社で、これから先、何かを期待できるのでしょうか?

労働者は労働力を会社に買ってもらい、その対価を給料として受け取っています。
残業代が未払いということは、労働力という「売り物」をタダで譲っているわけです。

そんなことが法律で許されるはずがありません。未払いの残業代はキッチリ請求できます。

ただし、残業代を請求するには、根拠としての正当な証拠を必要とします。
証拠さえあれば残業代は自分で請求できますので、諦めずに何としてでも残業代を払ってもらいましょう。

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未払い残業代とは?

未払い残業代とは、就業規則や雇用契約書等で定められた就業時間以外、労働基準法で定められた規制を超えた労働に対する賃金不足の総称です。

未払い残業代には、①全く支払われていない、②支払われているが賃金が不足している2種類があり、全く支払われていないのは誰でも未払いだとわかります。
しかし、賃金が不足していることを見抜くためには、労働基準法の理解が欠かせません。

残業は基本的に割増賃金を支払うのが法律上の規定ですが、残業代をきちんと支払っているフリをして、割増賃金にしていない会社もあるからです。
また、深夜残業に該当しても、通常残業と一緒にする会社もあります。

こうした会社の不正に対抗して、未払い残業代を請求していくためには、働いた時間がいくらの賃金に相当するのか知らなければならず、その説明から始めていきます。

確認する方法

残業代の確認には、1日何時間働いているか、1週に何時間働いているか、最低でも自分ではきちんと把握している必要があります。
そうしないと、残業代が発生しているかどうかも正しく計算できません。

まず、就業規則や雇用契約書があればベストで、実際には作っていない会社もあるため、とりあえず就業時間と休憩時間だけは確認しておきます。
そして、次に該当する時間外労働があれば、その時間を記録しておきます。

  • 1日8時間を超えて働いた日がある
  • 1週40時間を超えて働いた時間がある
  • 夜10時以降の残業になった日がある
  • 休日に働いた日がある
  • 就業時間を超えて働いた日がある

法定時間外残業と法定時間内残業時間の計算

残業にはこの二種類があり、すこしややこしいですが以下のように解釈してください。

  • 法定時間外残業
    1日8時間、1週40時間の枠を超えた残業です。
    これらの残業には、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
    いわゆる、法律(法定)で定められた労働時間を超えた残業です。
  • 法定時間内残業(所定時間外残業)
    就業規則等で定められた従業員の勤務時間を超えた残業です。
    これらの残業には、25%の割増賃金を支払う義務はありません。
    いわゆる、会社が任意で決めた勤務時間を超えた残業です。

例えば、就業時間が10時~18時(休憩1時間)、土日祝日休みの会社があったとします。
Aさんは10時~21時まで残業した場合は以下のようになります。

法定時間内残業と法定時間外残業の範囲

この時間で残業代を計算すると、このようになります。

  • 時給相当額 × 1時間(法定時間内残業) × 1.00
  • 時給相当額 × 2時間(法定時間外残業) × 1.25

夜10時以降の残業

次に、残業が夜10時以降に達したときは50%以上の割増となります。

休日労働

法定休日(週1日)の休日労働には35%以上の割増賃金の支払いが義務付けられています(法定休日の労働が夜10時以降になったときは60%以上の割増)。

未払い残業代を請求する手順

未払い残業代を請求するためには、労働時間を確定する出退勤記録を手に入れ、未払いの残業代を計算し、会社に請求するという手順が必要です。

大切なのは、請求の根拠になる出退勤時間と、残業代の計算を間違えないこと、それと請求には2年の時効があることです。

必要とされる証拠

未払い残業代の請求では、請求する側が証拠を揃えて未払いが発生していることを立証していかなくてはなりません。

未払いにしたのは会社なのに…と思いたくなりますが、立証責任が請求側にあるのは普通のことで、権利主張をするならその根拠が必要です。

就業規則や雇用契約書

何時から何時までを、会社が定めた就業時間(所定労働時間)としているか、給料はいくらなのか確認するための証拠になります。
就業規則がなくても、雇用の際に何らかの書面を受け取っていれば、その書面に就業時間や給料は書いてあるはずです。

本来は、雇用条件(雇用期間、就業時間、賃金等)を書面にして渡すのが使用者の義務ですが、必ずしも書面で渡されない現状があります。
雇用契約自体は口約束でも成立しているので、請求に備えて、雇用条件が雇用当初から有効だとした合意文書を作ってもらいたいところです。

出退勤記録

会社が定めた就業時間に対し、残業が発生しているかどうか確認するための証拠で、出勤簿やタイムカードのように出勤日ごとに記録されたものがベストです。
始業時間が毎日同じで社内では周知の事実なら、遅刻等がない限り退社時間の記録だけでも大丈夫です。

ところが、残業代の請求で最も難航するのも出退勤記録で、過去のタイムカードを見せてくれといっても、勘ぐられて応じてもらえないかもしれません。
普段から未払い残業代を請求することを踏まえ、自分でコピーや写真に残しておくなど対策は必要です。

また、会社に出退勤記録があっても、記録上は勤務していたことになっていない不正な残業も横行していることから、自己防衛として独自に記録も取っておきましょう。

会社のパソコンから、毎日退社前に携帯や自宅のパソコンにメールしておくと、時間の記録も残って証拠として有効です。
パソコンを使っていなければ、自分の携帯で作成したメール、手書きのメモ等でも良く、それらは客観性に欠けますが無いよりはずっとマシで、とにかく「毎日記録を残す」ことが重要です。

残業代の計算方法

最初に行うのは、残業なしで働いたときに、自分の時給がどのくらいになるかの計算です。
時給換算にしなくてはならないのは、日給でも月給でも年給(年俸)でも、残業は時給をベースに考えるからです。

給料に諸手当(家族手当、通勤手当、住宅手当など)があれば、毎月の給料から控除する点がポイントで、給料全体で時給を求めると、おかしな数字になるので注意しましょう。
手当の名目は会社で統一されておらず、どの手当が控除され、どの手当を控除しないかは難しいですが、その場合には趣旨が労働能力による手当であるかどうかで判断します。

月給の場合に時給を求めると次のようになります。

  • 時給=(月給-控除すべき手当)÷会社が定める所定労働時間

そして、求められた時給と、実際にした残業時間から、請求できる残業代を計算します。
このとき、残業時間の種類によって、異なる割増率になることは要注意です。

  • 残業代=種類別の残業時間×時給×種類別の割増率

残業時間の種類とは既に説明の通り、労働基準法で定められている時間外労働や休日労働、就業規則で定められている時間外労働や休日労働のことで、割増率はそれぞれ異なります。

  • 法定内時間内残業:割増率1.00
  • 1日8時間を超えた労働:割増率1.25(深夜労働では1.50)
  • 1週40時間を超えた労働:割増率1.25(深夜労働では1.50)
  • 法定休日の労働:割増率1.35(深夜労働では1.60)

会社が定めた就業時間を超えた労働と、会社が定めた法定休日以外の休日の労働は、就業規則によって割増率は異なります。
不明なら割増率を1.25(休日なら1.35)としても問題ありません。実際の割増率が異なれば、請求された会社のほうで正しい割増率を主張してくるはずです。

このようにして求められた残業代と、実際に支払われた残業代を比べ(全額未払いなら不要)、不足があれば請求することになります。

会社へ送付する請求文書のひな形

未払い残業代の計算が終わったら、いよいよ請求文書を作ります。
特に書式は決まっておらず、自筆でもパソコンで作成しても問題ありません。

例を以下に示しておきますので、参考にできるところがあれば使ってください。

○○会社
代表取締役 ○○○○ 殿

平成○○年○○月○○日
○○市○○町○○番地
○○○○ 印
請求書

貴社は、平成○○年○○月○○日から同年○○月○○日までにおいて、労働基準法で定める法定労働時間を超えた時間外労働を私にさせたにもかかわらず、その間の割増賃金を支払っておりません。

つきましては、金○○万円○○千円を時間外労働に対する割増賃金として請求致しますので、平成○○年○○月○○日までに下記銀行口座への振込によってお支払いください。

なお、平成○○年○○月○○日までにお支払いが確認できない場合、監督官庁への通告と共に、法定の利率による遅延損害金の請求ならびに法的措置を講じることを申し添えます。

振込先
○○銀行○○支店
口座番号○○○○○○○○
口座名義人○○○○

請求が長期間の未払い残業代では、請求金額の根拠を示すほうが好ましく、請求書に追記するか、別紙に月別の残業時間と割増賃金を記載することをおすすめします。

いきなり金額だけ記載して支払えと言われるよりも、詳細を示すほうが証拠は確かで、会社も争うのは無駄だと感じるからです。

在職中?退職後?どちらが良いか

未払い残業代請求は、在職中でも退職後でも可能で、時効がまだ先なら在職中のほうが出退勤記録を集めやすいメリットがあります。
しかし、誰でも心配するのが在職中に請求して勤務継続に不利益を受けるのではないかという点で、そのような不利益は違法行為ではあっても、証明していくのが難しくなるため懸念するなら退職後のほうが請求しやすいです。

したがって、どちらが良いとも言えないのですが、十分に証拠が集まっており、時効も気にしなくて大丈夫なら、退職後のほうが精神的にも楽でしょう。
未払い残業代の請求は正当な権利ですし、請求で不利益を与えるような会社はそもそも未来がないのですから、在職中に請求してもやがて退職するとも考えられます。

時効について

未払い残業代の請求時効は2年であり、時効は未払いの発生時から進行するため、ぐずぐずしていると毎月徐々に失われていきます。
例えば、月末締めの翌月25日が給料日の月給制なら、2年前の25日にその前の月の未払い残業代は時効です。

ただし、2年の時効を迎えようとしていても訴訟を起こすか、訴訟の前に会社に請求書を送れば6ヶ月間は時効が猶予されますので、6ヶ月以内に訴訟を起こせば時効は中断します。
結論として、もうすぐ2年なら今すぐにでも請求だけはしないと、時効で手遅れだということです。

詳しくは残業代の時効で起算日や2年を引き延ばす方法を解説しています。

会社からのよくある反論

残業代を未払いにする会社が、マトモに取り合ってくれるとは到底思えません。
大抵は次のような理由で、支払いを拒んでくるはずです。

「年俸制だから支払う必要がない」

労働基準法は、原則として1日8時間、1週40時間以上の労働に割増賃金の支払いを規定しており、給与体系が年棒であるかどうかを区別していません。
年棒制だから残業代を支払わなくて済むなど、経営サイドによる都合の良い誤解(言い訳)です。

「管理職手当を払ってるから残業代は出ない」

一般にそうであるように、管理職になると、それまでの残業代が固定の役職手当に変わり、残業代がなくなってしまいます。
では、管理職には残業代は必要ないのでしょうか?

労働基準法では「管理監督者」という地位を認め、管理監督者には特定の労働時間も休憩も休日もありません。
そのため、労働時間外 = 残業の概念がないという理屈ですが、一般の管理職にそのような裁量権があるでしょうか。

残業代が発生しているかどうかは、役職名ではなく実態に則して判断されます。
つまり、名目上は管理職でも権限がなく、実態が他の従業員と変わらなければ、残業代が未払いだとして請求することには何の制限もないのです。

一定の勤続年数に達すると、部下が居ないにも関わらず係長や課長になっている人が会社にいませんか?
いわゆる「名ばかり管理職」です。それは会社側が残業代対策で辞令を出している可能性があります。

「固定残業代として既に支払っている」

会社が残業の実態を把握できないなどの理由で、予め想定した残業時間分の残業代を、手当等の固定額で支払う給与体系にしていることがあります。
こうした方法そのものが違法なわけではありませんが、固定額で支払える以上の残業が発生したときに、支払いを拒めるものでもありません。

相談先や依頼について

未払い残業代の請求は、最初から最後まで自分でできますが、それでも不安で誰かに相談したくなるでしょう。
相談先はいくつか考えられますが、相談しただけで解決するほど甘いものではないはずです。

まず、監督庁である労働基準監督署への相談はほとんどの会社にとって有効です。
ただし、労働基準法違反が明らかなら調査や指導はしてくれても、相談した時点で事実確認もせずに動くことは考えにくいです。

また、労働組合があれば相談先となります。
しかし、そもそも労働組合がある会社で残業代の未払いを放置していることは少ないと考えられます。

他にも役所やNPO法人などでも労働問題を取り扱っていますが、あくまでも相談であって、相談者の代わりに請求までしてくれることはありません。

それでも払わない会社は多くある

どこに相談しようと請求しようと、一切応じないと強硬な態度を取る会社も中には存在します。
そのような会社は、残業代の未払いについても確信犯で、大半の労働者が泣き寝入りしてしまうのを狙っており、到底許されるものではありません。

悪質な会社に対抗するには、裁判所命令による国家権力での強制的な回収が不可欠で、必然的に訴訟などの裁判所手続きに頼らざるを得なくなります。

専門家に依頼するのもひとつの方法

自分で請求して、すんなり支払ってくれる会社ならまだ救われます。
問題は請求しても支払ってくれない会社で、こうなると訴訟に持ち込むしかなく、労働問題を取り扱う弁護士など専門家への依頼も必要になってきます。

訴訟になれば、会社は弁護士を付けてきますから、対抗するにはやはり弁護士です。
未払いの残業代が少ないなら少額訴訟となりますが、その場合でも事前に相談くらいはしておいたほうが良いでしょう。

まとめ

未払いの残業代請求は、まぎれもなく労働者の正当な権利に基づく正当な請求で、何も後ろめたいことなど無く、未払いを立証できれば法律も裁判所も味方です。
不当に未払いの残業代を、「勝ち取る」という言葉すら変な話で、元々受け取って当たり前の賃金は堂々と請求しましょう。

どうしても不安なら他の人の助けを借りれば良く、身近にいなければ第三者の専門家でも力になれます。
くれぐれもブラック企業に屈して、泣き寝入りにならないように、証拠集めなど入念な準備をして実行するべきです。

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