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ブラックバイト、ブラックパートが増加する本当の理由

      2016/05/26

ブラックバイト・ブラックパートが増える理由

アルバイト先やパート先で、一方的に無理を押しつけられ、泣き寝入りしてしまうブラックバイトやブラックパートが最近よく取り沙汰されるようになりました。

誰もが思うとおり、雇う側の企業に責任があるのは当然で改善が求められています。
しかし、それほど簡単な問題ではなく、ブラックだとわかっていても辞められない事情が働く側にもあると考えられています。

ブラックバイトやブラックパートは、どのような被害が起こっているのか。
その実態を取り上げて、ブラックバイトやブラックパートが増加した理由と、対処方法についても解説していきます。

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ブラックバイト・ブラックパートとはなにか?

ブラック企業という言葉は以前からあっても、ブラックバイト・ブラックパートは最近の言葉です。
労働における「ブラック」とは、雇用契約における賃金の未払いや残業代の未払い、過剰労働を強制したりする違法行為全般を意味します。

その中でもブラックバイト・ブラックパートとは、ブラック企業で行われるような劣悪な労働条件・労働環境をアルバイトやパートの領域にまで広げ、学生や主婦といった正規雇用が難しい人達にまで、苛酷な労働を強いていることです。

ですが、労働条件が悪い職場環境は今に始まったことではありません。
働かなければ生活できない多くの人は、条件が悪くても仕方なく働き続けます。それはいつの時代も変わりません。

ただし、正社員とアルバイト・パートでは仕事内容に違いがあり、各々が出来る仕事を区分けがされていたはずです。

ところが、正社員が行うような責任のある仕事をさせ、本人の責任感や法的知識の欠如、生活苦を利用して劣悪な労働をさせます。さらに、簡単にクビにされたり、無理なシフトを組まされたりと不遇を強いられるのがブラックバイト・ブラックパートの実態です。

最近になって増加しているのは、第一には企業が悪いとしても、アルバイトやパートをする主に学生達の生活苦も関係しています。
その詳細は後述するとして、まずはブラックバイトやブラックパートの事例を紹介します。

ブラックバイトの一例

厚生労働省が大学生1,000人(大学院生、短大生、専門学校生を含む)を対象に調査した結果によれば、コンビニエンスストア、学習塾、居酒屋等の飲食店、スーパーマーケットがアルバイト先の上位です。

その中でも、コンビニの自爆営業(従業員が自腹で商品を買う)、学習塾の不当労働について取り上げてみました。

東京都内の専門学校に通う女性(19)は、2月まで2年ほど大手コンビニチェーンでアルバイトをしていた。1日5時間、週2~3日働き、就職活動が本格化する前に辞めた。
恵方巻きやクリスマスケーキといった季節商品を売り出すと、「必ず一つは購入を」と店の指示があり、自腹で買った。従業員は、バックヤードの棒グラフに競って販売目標を書いた。少ないと「向上心が足りない」と言われた。
[参考]おでん100個を自爆営業 ブラックバイトと闘うには

「私の勤務している塾では、時給が払われるのは授業時間だけ。それ以外の保護者との面談、塾の運営会議、テキスト作成の時間は時給が払われません。また自分が担当している生徒の成績が上がらなかった場合には、無給で補講を行うことを命じられます。『時給を払ってほしい』と伝えたら、『お前は生徒とお金とどっちが大切なんだ』と言われました。バイトを辞めたいと言っても、辞めさせてもらえません」
[参考]学生たちを悩ませる「ブラックバイト」の実態―企業が注意すべきことは

また、先日賃金の未払いや長時間労働、あげく自腹で赤字を補填させられていたアルバイト従業員が労働審判を申し立て、解決金を支払う形で和解するニュースがありました。

アルバイト先で無賃労働や赤字の穴埋めを強いられたとして、仙台地裁に労働審判を申し立てた大学4年の男子学生は19日までに、バイト先の経営者と和解した。経営者が解決金200万円を支払う。学生側の代理人弁護士が明らかにした。
[参考]「ブラックバイト」で和解=労働審判前に解決金―仙台地裁

ブラックパートの一例

家計をやりくりする主婦の場合、若年層と違ってパート先の選択肢は少なく、生活時間も自由にならないケースが多いことから、ブラックパートをする企業に対抗できないで我慢して働き続ける例が多いようです。

「夕飯の支度に間に合うように、“午後5時まで”の条件でパートを始めました。ところが毎日のように“忙しいのは これからなのに、帰るつもりなのか?”と店長に責められて、帰るに帰れません。しかも居残った分の時給はゼロ。最近は、夫も子供も不満顔です。子供の教育費のこともあるし、やっと見つけた仕事なので辞めるふん切りがつきません」(40才・スーパー勤務)
[参考]主婦を悩ますブラックパート サービス残業や出勤日不明など

高速バスの社内清掃、トイレの汚物処理、窓ガラス拭きなどをしていた64歳の女性。仕事は朝5時半から午後4時半まで。契約書に就業時間の記載はなく、タイムカードも、残業代もなし。同僚からの嫌がらせの電話が毎晩のようにかかり、夜中の電話もあった。体重は7㌔落ち、円形脱毛症に。我慢が切れて職場で号泣。医師の診断は「うつ病」だった。
[参考]パートがこんな働かされ方であっていいはずはありません。

最近になって問題になる本当の理由

ブラックバイトやブラックパートは、最近になってメディアでも取り上げられるようになり、テレビで特集が組まれるなど、問題視されるようになりました。

冒頭でも説明したとおり、ブラック企業、ブラックバイト、ブラックパートは、雇用形態が違うだけで以前から存在しており、表面に出てこなかっただけです。その背景には、時代背景が深く関係しているようです。

それでは、条件が合わなければ辞めることができたはずのアルバイトやパートタイムであったはずですが、なぜ続けざるを得ない環境だったのでしょうか?

大学の授業料増加と不景気

大学の運営は、授業料と補助金がメインで、補助金は縮小傾向にあります。
補助金が減ると運営のために授業料を上げなくてはならず、さらに少子化が拍車をかけて授業料は上がり続けています。

しかし、最近になって徐々に上向いてきたとされる景気は、多くの人にとって実感できるものではなく給料はそれほど増えていません。
むしろ、世帯収入は減少傾向ですから、子供の学費と親の収入は逆の関係にあるのです。

収入が減って子供にかかるお金が増えると、家計が回らない主婦はパートに出ます。
仕送りの減少から、学生本人も奨学金やアルバイトを利用しなければ、学生を続けられなくなるほどで、パートやアルバイトは今や生活の一部です。

大学生の経済状況は悪化している

2014年の10~11月に行われた、全国大学生活協同組合連合会の調査によると、下宿生における仕送りの額は7万円、奨学金とアルバイトが約2万5千円ずつの5万円で、合計月12万円という暮らしです。

その中から、住居費5万円強を支払い、残りで食費や交通費、通信費等を支払っていくのですから、どう考えても生活は豊かではありません。
そして、アルバイトがなくなれば全く生活できない状態に陥ります。

大学生の頃は遊びたい盛りですが、親のすねをかじって生活できる立場の学生は減り、アルバイトなしでは生活できない層が増えています。
その結果、ブラックバイトと知りながら抜けられなくなってしまうのです。

もちろん、労働基準法を始めとする、社会のルールに無知な側面もあるでしょう。
しかし、それは大人側(企業側)が対処すべきことであって、無知な学生をつかまえて不当労働させるなどもってのほかです。

防止策や対応方法

ブラックバイトやブラックパートで、賃金の未払いや不当労働をさせられたとき、1人で戦っても成果が得られることは少なく、ユニオンを通じて団体交渉をしてみましょう。

ユニオンとは、1人でも加入できる労働組合のことで、最近では学生やNPOを中心に各地でユニオンが結成され、労働相談からブラックバイトやブラックパートをさせる企業への交渉までしています。

[参考]首都圏青年ユニオン

それ以前に、ブラックバイトやブラックパートであることを見抜く力も大切です。
雇用契約書を渡さず、勤務規定や賃金規定を教えてもくれない企業は、最初から疑ってかかるべきです。

もう1つ、給料明細に書かれている賃金や勤務時間は、不正に変更されている可能性があるので、実際の勤務時間と支払われるべき賃金をきちんと自分で把握しておくことです。
何が不当労働なのか証拠を残さないと、後から請求する根拠がありません。

自分で作ったメモでも構わないので、実態を記録しておきトラブルが起きたら相談先に持ち込んで実情をわかってもらいましょう。

公的機関などの相談窓口

ブラックバイトやブラックパートの相談窓口としては、前述の労働組合(ユニオン)以外にも、公的な機関として都道府県の労働局、各都市に設置された労働基準監督署、他には各自治体が設けている窓口があります。

特に、労働局や労働基準監督署は、不当労働を見過ごすことができない立場の役所ですから、法律違反があれば企業に指導もしてくれます。いずれも身近な存在ではないですが、労働者からすると最も頼るべき役所と言えるでしょう。

[参考]都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧

民間では、弁護士、労働問題に取り組んでいる弁護士やNPO法人などでしょうか。
弁護士の場合には費用が発生するので、未払い賃金を回収する目的のときは、どのくらい未払いになっているか計算して、採算が合うか確認の必要があります。

[参考]労働に注力する弁護士に法律相談 – 弁護士ドットコム

まとめ

ブラックバイトやブラックパートが起こる理由は、学生や主婦の「生活苦」「労働の自由度が失われていること」「法的な知識が少ない」「自己防衛ができていない」ことなどですが、結局のところ、ブラック企業の身勝手な利益追求に他なりません。

しかし、ブラック企業が改善するケースは少なく、労働者側にも対応策が必要です。
最初からブラックバイトやブラックパートに引っかからないのが一番ですが、もし働いてから気付いた場合は、我慢せず早めに相談するようにしましょう。

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