労働問題相談所

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【保存版】不当解雇された会社に賃金や慰謝料などの損害賠償を請求する全手順

      2016/05/26

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週に何百時間も残業をさせておきながら、当然のように残業代を支払わないブラック企業はよくニュースになりますが、不当解雇で問題になる会社も多くあります。

解雇された労働者の相談として多いのは、

  • 人種や性別、宗教などの差別によって解雇された
  • 結婚や妊娠を機に解雇された
  • 能力や業績のみを理由に解雇された
  • 明日から来なくて良いと言われた
  • 解雇なのに自己都合の退職扱いにされた

などです。

しかし、ほとんどの人が、会社側の言い分を受け入れ、請求できたかもしれない慰謝料などの損害賠償や、未払いになっている賃金・退職金・残業代までも放棄しているのが現状です。

この記事では、どのような状況だと慰謝料や損害賠償が請求できるのか?賃金や退職金の請求方法を説明したいと思います。

突然のクビ宣告に頭が真っ白になっているかもしれませんが、理不尽で不誠実な会社から取れるものは取っておきましょう!

残業代の請求方法はこちらで詳しく解説しています。

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慰謝料を請求する方法

ざっくり結論を言うと、不当解雇で慰謝料請求するのは相当ハードルが高いです。

解雇によって受けた損害は解雇期間の賃金支払、つまり「会社来なくても支払う給料」で諸々を許してくださいね、と考えるからです。

解雇状況によって、給料○ヶ月分と言った具合に上乗せや差し引き調整を行うのが一般的です。

また、そもそもですが、解雇が不当と会社が認めた場合、あなたが請求できるのは以下になります。

  1. 職場復帰して賃金請求
  2. 職場復帰せず賃金請求
  3. 職場復帰せず賃金請求もせず、損害賠償や慰謝料を請求する

と言うことは、3.を望み、あなたがいくら慰謝料や損害賠償を求めたとしても、会社が「なんか面倒言われてるから、職場復帰させちゃおう。働いてなかった期間の給料も払ってあげよう。」とした場合は、それに従うしかありません。
そのため、慰謝料請求をするつもりでも、建前として解雇の無効を前提に、まずは職場復帰(地位確認といいます)を求めていくことが必要です。

慰謝料というのは、精神的苦痛に対する損害賠償ですから、不当解雇で精神的苦痛を受けているかどうかは、解雇に違法性があり、未払いになっている賃金以上の損害を受けたと認められる場合だけです。

どのようなケースだと慰謝料請求が可能?

兎にも角にも、精神的苦痛を受けたことを証明するしかありません。

しかし、精神的苦痛は人によって程度が異なるため、一定の尺度が存在しません。
解雇によってショックを受けることも精神的苦痛ではありますが、解雇だけを理由として慰謝料を認めてもらうのは難しいと知っておきましょう。

そのため、解雇に差別的な要因が含まれている、労働者の人格を否定した解雇がされたなど、明らかに違法性が高く労働者が損害を受けていなければ、慰謝料請求は認められない傾向です。
他には、解雇の経緯にセクハラやパワハラが含まれていると、慰謝料請求が認められる可能性はあります。

慰謝料請求に必要な情報

慰謝料請求には、解雇が不当なだけではなく、違法性が高く精神的苦痛を受けたであろうと推察できるだけの理由を必要とします。
繰り返しになりますが、解雇自体が不当であることは、職場復帰と解雇期間の賃金で賠償されるからです。

逆の視点で考えると、不当解雇で慰謝料請求するには、解雇がなかったとしても慰謝料請求が認められるほどの事案でなければ難しいということです。
もっとも、解雇自体に大きなショックを受け、体調を崩したなどの理由で請求することは一応可能です。

  • 就業規則や雇用契約書
  • 解雇通知書
  • 解雇理由書
  • 会社とのやり取りが残っている記録
  • 解雇当時の状況がわかる記録
  • 診断書など精神的苦痛を受けていたことを証明できる記録
  • 同僚の証言など

不当解雇では解雇理由の合理性を争えば足りますが、慰謝料請求では精神的苦痛を受けた証明が求められます。
会社とのやり取りはできるだけ形に残るメールで行い、同僚にも相談して証言してもらえないか確認しておきましょう。

それでも、会社側に通じている、または自身に対する制裁を恐れて同僚は証言してくれないかもしれません。
証拠がない場合、同僚の正義感に頼るしかないのですが、日常的に家族や友人に会社で受けた仕打ちを話していた、メールしていた履歴が残っているなど、苦痛を受けてきたと証明できそうなら何でも取り上げてみるべきです。

これらの情報を裁判所などに提出したとして、解雇が不当であることは認めてもらえても、慰謝料請求が妥当だと認めてもらうのは難しいかもしれません。
そのくらい慰謝料請求はハードルが高く、専門家に相談したほうが確実です。

逸失利益を損害賠償請求する方法

ここで説明するのは、職場復帰を求めず、逸失利益を損害賠償請求して金銭的な解決を望む場合です。
そもそも不当解雇を争っていないのに、会社の不法行為で損害を受けたとして、逸失利益が請求できるかどうかは見解が分かれるところなので注意が必要です。

逸失利益とは?

逸失利益とは、解雇がなければ労働者が本来得られたであろう失われた利益のことで、職場復帰を前提とすれば、解雇期間の賃金で容易に算出できます。
しかし、職場復帰を望まない場合は、どのくらいとするのかは難しい面があります。

給料の6ヶ月分相当を認めた判例もありますが、それが直ちに相場ではありません。
職場復帰を望む場合と違って、解雇期間中の賃金という明確な算出基準はなく、事例によって判断されることになるでしょう。

考え方の1つとして、解雇によって再就職するまでに、通常必要だと考えられる期間の賃金相当額とする基準があります。
その場合は、再就職していると受けた損害は小さくなり、損害賠償額も当然に小さくなります。

逸失利益の損害賠償請求に必要な情報

少なくとも、不法行為を証明する情報と、賃金を証明する情報は不可欠です。また、不当解雇ではなく不法行為を請求の根拠とするため、より条件は厳しくなります。

  • 就業規則や雇用契約書
  • 解雇通知書
  • 解雇理由書
  • 会社とのやり取りが残っている記録
  • 解雇当時の状況がわかる記録
  • 勤務成績や人事評価に関する記録
  • 給与や賞与の明細、源泉徴収票
  • 賃金規定

なお、不当解雇を争わず、会社の不法行為と自分の受けた損害を証明するのは難しいので、形式上は職場復帰を求めて不当解雇を認めさせてからにしましょう。
会社側と話し合って職場復帰はせずに、解雇期間の賃金に相当する額を請求するほうが、請求金額も合理的です。

解雇後の賃金や退職金を請求する方法

解雇後の賃金は、解雇が不当なら請求権があることに争いはなく、解雇開始から不当解雇が認められるまでの期間について、通常支払われるべき賃金を請求できます。

退職金の場合には、職場復帰はもちろん退職扱いにならないので請求できません。
不当解雇を受け入れた場合は、退職金相当額の請求は可能でしょう(請求が認められるとは限りません)。

解雇後に発生する賃金

解雇時の給料を基本として、給料が毎月変動する職種のときは平均的な給料を求めて、解雇期間中に相当する金額(バックペイと呼ばれます)を請求できます。要するに、働いていたら支払われた給料を請求するだけです。

この点、解雇期間中は労働者が働いていないので、会社から「働いてないから給料は払わない」と主張されるかもしれません。
しかし、これは認められません。しっかしと賃金を請求できます。
その理由としては、働く意思がある労働者を、会社が不当な解雇という形で妨害したと考えられる為です。

退職金との差額

不当解雇においては、退職金が支払われない、もしくは不利な条件で退職金が支払われるケースもあり、正当な退職金を請求することが可能か検討の余地はあります。
退職金を請求すること自体が、退職を受け入れる意思表示である点は要注意です。

つまり、不当解雇を争っている一方で、退職金を受領するのは論理的に矛盾し、退職金の支給や差額を請求するなら、もはや職場復帰できないということです。
その上で、解雇は会社都合なのだから、会社都合の基準で退職金は支払われるべきとする請求になります。

解雇後の賃金や退職金の請求に必要な情報

解雇後の賃金については、雇用契約書や給与明細などから判明するので、それほど困ることはないはずですが、解雇開始日を特定しなければなりません。
退職金を請求するときは、本来の退職金がいくらなのか算出できる社内規定で請求額を証明します。

  • 就業規則や雇用契約書
  • 解雇通知書
  • 解雇理由書
  • 会社とのやり取りが残っている記録
  • 解雇当時の状況がわかる記録
  • 給与や賞与の明細、源泉徴収票
  • 賃金と退職金に関する規定

退職金の差額については、自己都合と会社都合で退職金の支給水準が異なるケースしか請求できません。
しかも、その支給基準が労働者に公開されていなければ、会社に提出を求めることになり、ほとんどの会社は拒むでしょう。

したがって、弁護士に会社への照会を依頼するか、裁判を起こして裁判所から照会してもらう方法に頼ることになります。

会社との交渉や専門家への相談について

不当解雇での会社との交渉は、解雇後だけに直接話し合う機会は設けられず、内容証明郵便等で文書を送って請求する手段になるでしょう。
しかし、会社側は応じずに、労働審判や訴訟を視野に入れなくてはなりません。

全て自分で行うのも、不当解雇への怒りが持続している間は問題ないのですが、人間というのは徐々に意欲がおちていきます。
争いに時間を費やして生活ができなくなっては元も子もないのですから、労働問題に強い専門家への依頼も考えておくべきです。

解雇が無効でも会社は認めないケースが多い

会社が損害賠償請求をすんなり認めることはなく、解雇の無効を認めないばかりか、もし無効だとしても損害賠償請求を認めないケースは多いようです。
会社は不当だと知って意図的に解雇しており、後から覆されることを嫌います。

解雇自体が不当あれば、労働者が受けた損害を会社が賠償する責任は確実にあります。
それでも、職場復帰後に会社と争うことが、お互いのために良くないとする言い訳で、労働者を丸め込もうとするのが常套手段です。

ここで、会社と争うということを、もう一度良く考えてみましょう。

自分の上司や社長個人と争うのではなく、法人としての会社と争うのですから、上司や社長が介入するとしても、それは会社の意向を代表しているべきです。
上司や社長が、解雇や職場復帰に対し私的な感情論を持ち出すのは筋違いです。

会社は人間ではなく、その意思決定は人間がするとしても、お互いのために良くないとする言い訳は、個人的に都合が悪い事情しかありません。
不当な解雇を認めさせて職場復帰を果たし、会社に受けた損害を請求するのは、極めて常識的な判断で何もためらう理由はないでしょう。

そうは言っても、実態として職場で不当な扱いを受けたり給料に影響したりと、解雇から職場復帰した労働者は、何かと風当たりが強いのは確かです。
それらの不利益を与える行為も違法性は高いのですが、解雇問題が終わってさらに争いを広げていく労力は持続しないかもしれません。

その過程で、会社で働きたくなくなるのも無理はなく、不当解雇をするような会社との争いに人生を使うのも無駄なので、どうするべきか将来も見据えて判断したいところです。
せっかく復帰を果たしたのに、依願退職になっては釈然としないのではないでしょうか。

専門家に依頼するのもひとつの方法

解雇が不当な前提なら、正しいのは自分であることに疑いようもなく、真っ向勝負で解雇と損害賠償を争っていくしかありません。
しかし、全ての人が声高に権利主張できるとは限らず、どのくらいの損害賠償額を請求できるのかも不明です。

何度も会社と争っている人ならまだしも、一般には平穏に勤務していきたいのであり、会社と争う場面を想定できている人は少ないのではないでしょうか。
争いごとには争いの専門家が存在し、代表的なのは労働問題を扱う弁護士です。

弁護士に依頼すると費用が発生するので敬遠されがちですが、弁護士に依頼して争った結果、損害賠償に弁護士費用を含めることができる場合もあります。
相談だけでも専門家の意見は価値が高いので、1つの選択肢として検討してみるべきでしょう。

まとめ

会社は利益を確保して、株主などの出資者に分配していく責務を負います。
しかしながら、同時に雇用している従業員の生活を保障していく立場でもあり、不当な解雇は決して許されるものではありません。

不当解雇に基づく損害賠償は、損害の発生を証明するのが難しく、慰謝料も精神的苦痛を受けた証明は難しいものです。
まずは、職場復帰を前提に地位確認を求めていくのが、手法としては確実です。

それでも、解雇するような会社に戻りたくないと思う人は多く、損害賠償や慰謝料請求は、会社の交渉や裁判所の判断次第という不安定な面もあります。専門家の力を借りるなどあらゆる手を尽くして、泣き寝入りだけはしないように強い心を持つことが大切です。

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